はぐくむブログ

自分にやさしくするってどんなこと?をつぶやいています。Somatic Experiencing®を中心に身体の内側からの安心をはぐくみます。

感情コントロールができなくて苦しい方へ

 今日もはぐくむブログをご訪問いただきましてありがとうございます😊

 

 感情のコントロールに苦労することは
多分誰にでもある経験だと思います。
おもしろいことに、
感情にそれほど振り回されない人と
時々(またはしばしば)感情に振り回されてしまう人、
かなり個人差があります。

 感情の起伏の個人差、どうして生まれるのか
不思議に思いませんか?

 私は感情のコントロールにはずっと苦労してきて、
いろいろな本を読み、いろいろな方法を試し、
それでも怒りが抑えられなくて何度も失敗しました。
その試行錯誤の中で不思議に思っていたのは、
そもそも怒りを感じない人もたくさんいるのに、
なぜ私は怒りを感じてしまうんだろう?ということでした。
物事の捉え方、世の中を見る見方が根本的に違うんじゃ?
という疑問がありました。

 同じように感情のコントロールに悩んでいる人の
お役に立てたら、と思うので、
今日は感情について脳神経の視点から書いてみます。

 

 そもそも、私たちはどうやって感情を感じているのか、
これには脳神経の研究でも諸説ありますが、
ざっくり言うと感情は、

身体の各部から脳に感覚情報が送られる
→脳が感情を判断
→対応方法の指令を身体の各部に送り返す

という働きが身体の中で起こることで
感じられるといわれています。

では、脳の中でどうやって感情として
判断されているのかというと、
扁桃体前頭前野
感情の認知と制御に大事な役割を果たしています。
(頭の上側・前側のあたりが
感情の認知と制御をしてくれてるんだなー、
と理解してください。)

 まず、扁桃体はさまざまな物事が
自分にとって安全か危険か、有益か有害か、
の評価判断をしてくれています。

(動物を対象にした実験では、扁桃体を破壊すると
食べ物とそうでないものの区別ができなくなったり、
適切な交尾対象を選択することができずに
だれかれかまわず交尾してしまったり、
危険な捕食者を判断できなくなってしまったり、
等々、生きるための基本的な判断が
できなくなってしまうことがわかっています。)

 

 次に、前頭前野(腹外側前頭前野)は
扁桃体にブレーキをかける役割」
を果たしてくれています。

脳は刺激が何もなくても自発的に一定の頻度で
活動してくれている場所なのですが、
扁桃体は自発的な活動が少ないことがわかっています。

これは、扁桃体が刺激が何もないのに
危険だ!有害だ!と判断してしまうと
社会生活には不具合なので、

前頭前野(腹外側前頭前野)が、
扁桃体が必要な時だけ働くように
ブレーキ役を果たしてくれているわけです。

 ここがミソです。

 感情制御が苦手な方はこの、
腹外側前頭前野の機能が低下している
ことがわかっています。
 腹外側前頭前野の働きが弱いと、
扁桃体の適切な制御ができないので、
実際には危険がないのに不安を強く感じてしまったり、
本来無害なものに対して恐怖を感じたりして、
それが怒り反応に繋がってしまうと考えられています。


 腹外側前頭前野の働きが弱くなってしまう原因の一つに
「トラウマ(逃げることも闘うこともできずに凍りついた経験)」
があると言われています。
強い恐怖や不安を経験した時に、
そこから逃げることも、
闘って恐怖や不安の原因となっている危険を
排除することもできないと、
脳の中ではその危険がずっと続いていると
認識されてしまいます。
 すると、腹外側前頭前野は働きを弱めて、
扁桃体が危険!危険!と信号を出し続けられるように
してしまうわけです。

 

 この腹外側前頭前野の働きで感情を適切に感じる機能は、
いわば、
「自動的な感情制御」
(自分でコントロールしようと意識しなくても
脳内で自動的にコントロールしている)と言えます。

 これとは別に、
「意図的な感情制御」
の機能も脳の中にあります。
 これも、前頭前野が果たしてくれている役割なのですが、
前頭前野の中でも前頭眼窩野と外側前頭前野という部分が
意図的な感情制御の役割をしてくれています。
 これは、
「自分の感情を制御しよう」
と考えることで
前頭眼窩野と外側前頭前野
扁桃体の働きを抑制するブレーキ役を
果たしてくれる機能です。

 

 長くなってしまいました。まとめるとこんな感じです。

  • 感情は、危険かどうかを判断する「扁桃体」の働きが
    大きく関わっている。
  • 扁桃体の働きの適切な抑制は、
    「自動ブレーキ役を果たしてくれる腹外側前頭前野」と、
    「意図的なブレーキ役を果たしてくれる前頭眼窩野と外側前頭前野
    によって行われる。
  • 自己啓発本を読んだり、
    アンガーマネジメントを実践したりするのは
    「意図的なブレーキ役を果たしてくれる前頭眼窩野と外側前頭前野
    に働きかける方法
  • でも、「自動ブレーキ役を果たしてくれる腹外側前頭前野
    の働きが弱いと、感情を抑制するのが難しい
    (意図的なブレーキ役だけでコントロールしきれない場合には
    感情を抑制できない)

 

 つまり、いろいろな本を読んだり、
アンガーマネジメントのテクニックなどで
感情をコントロールするのは脳の中の
「意図的なブレーキ役」を使う方法なんです。
でも、そもそも「自動ブレーキ役」が弱いと、
「意図的なブレーキ役」だけではブレーキ力が足りないことがあるんです。

 

 これが、「感情的に反応しやすい人」と
「感情的に反応しにくい人」の脳の働きの差です。

 

 いくら自分に言い聞かせても感情をコントロールできない、
なぜ自分は我慢できないんだろう、
自制できないんだろうと自分を責めている方がいるとしたら、
責める必要はないです。
なぜって、それは意図的にコントロールできない部分の
働きによるものだから。

 だとしてら、自動ブレーキ役が働くようにすれば
いいだけの話です。

 それにはいくつもの方法があります。
Somatic Experiencing®はとてもオススメの手法ですし、
マインドフルネスやセルフコンパッションなどの方法もあります。
そして、うつ病などの病名がつく状態であれば、
お薬で前頭前野の働き方にはたらきかける方法もあります。
 

 ちょっと長々と書いてしまいましたし、
説明をかなり簡略化している部分もありますが、
参考にしてもらえたら嬉しいです。

happy-from-ashiya.hatenablog.com

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SE (Somatic Experiencing®、米国のPeter Levine博士が開発した身体と神経系の統合をベースにした安全で自然なトラウマ療法)という手法をベースに、『セルフコンパッションを高めて自己肯定感や幸福度を高めるセッション』を提供しています。
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