はぐくむブログ

自分にやさしくするってどんなこと?をつぶやいています。Somatic Experiencing®を中心に身体の内側からの安心をはぐくみます。

自分を傷つける存在にしがみつく ~ハーロウのモンスターマザー実験~

 今日もはぐくむブログをご訪問いただきましてありがとうございます😊

 先日見たテレビ番組で、
心理学研究における 
動物実験の倫理について
取り上げられていて、その一例として
ハーロウのアカゲザルの実験が
解説されていました。

 愛着理論研究で
ハーロウのアカゲザルの実験は有名なので
(ハーロウのアカゲザルの実験を知らない人
は愛着理論のことを基本から学んでいない
とも言えます(笑))、実験の概要は知って
いたのですが、詳細は初めて知りました。

 ハーロウは、子ザルが母ザルの元に
必ず戻る行動を見て、
サルが特定の存在と愛着の絆を結ぶのでは?
と考え、それを確かめるために、
"母子の絆を引き裂く「モンスターマザー」実験"
という実験を行いました。

 この実験では、
アカゲザルの赤ちゃんを連れてきて、
ニセモノのお母さん人形(モンスターマザー)
を与えます。 

 ニセモノのお母さん人形は4種類設定されました。
(よくもこんなこと考えつくなあ・・・)

1, 激しく揺れる母ザル人形
2, 強力な圧縮空気を噴射し続ける母ザル人形
3. 赤ちゃんザルを突然突き飛ばす母ザル人形
4. 突然スパイクが身体から飛び出してくる母ザル人形

 赤ちゃんザルはどんな反応をしたと思いますか?
どの母ザル人形も一緒にいるのは心地よくなさそうだし、
遠ざかるんじゃないかと思いませんか?

 結果はこのようなものでした。

 激しく揺れる母ザル人形と
強力な圧縮空気を噴射する母ザル人形には
子ザルはますますしっかりとしがみつきました。
 突然突き飛ばす母ザル人形や
突然スパイクが飛び出してくる母ザル人形には
恐怖で泣き叫びながらもまた戻ってきました。

 この実験で、子ザルは特定のサル(母ザル)
に愛着を示し、母ザルが自分にとって心地よく
なくても、危害を加える存在であっても、
ますますしがみつく、ということが確認されました。

 この実験結果は、養育者から虐待を受けた
人間の子どもたちが、養育者をかばったり、
養育者のもとに戻りたがるという事象とも
整合性があったんです。

 (当時はまだ「愛着」の概念や存在が
わかっていなかったので、この研究結果が
「愛着」の研究に大きく貢献したのはたしか
なのですが、モンスターマザー(人形)に
接している赤ちゃんザルの様子は、
胸が痛むものでした。)

 わたしたちは、愛着対象(多くは養育者)
に対して、くっつきたい、しがみつきたい、
そうすることで安心したいという、
本能的なニーズを持っています。

 だから、不幸にして、養育者が共感的では
なかったり、虐待的だったりしても、
しがみついてしまうということが起こります。
(でもそれは、虐待的な環境にある人が
悪いわけではない。)

 場合によっては、このパターンが大人に
なって別の相手との間で再演されてしまって、
モラハラをされたり、パワハラをされても
逃れられない、というようなことが起こったり
します。

 大切なのは、このメカニズムを理解すること。
その上で、自分を苦しめるパターンに気づくこと
です。そして、その上で、このパターンから
抜け出すために必要な行動を起こしていくこと
です。

 

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